株式取引の基礎知識

「株」ってなあに?

木を切った後に残る切り株ではありません。株式会社、株主などに使われるあの「株」です。とは言うものの、この「株」の語源は、木の切り株に由来しています。一説によると、切り株は木を切った後もずっと残っているところから、世襲などによって継続的に引き継がれるものを「株」と呼ぶようになったと言われています。

  また、英語で株のことを「stock」と言いますが、幹や切り株の意味の他に、貯蔵品、在庫品などの意味もあります。この「stock」が明治維新の頃に「株」と訳されたのが始まりという説もあります。

  いずれにせよ切り株が語源になっている「株」ですが、あらためて「株ってなあに?」と聞かれたら、意外に答えに困ってしまいます。知っているようで良くわからない「株」を基本から見てみましょう。

お金を集める仕組み「株」

お金を集める仕組み「株」

「株」とは簡単に言うとお金を効率よく集める仕組みです。何か事業を始めるにはお金が必要ですね。そのお金を用意するためにできることは銀行などからお金を借りることでしょうか。しかし、銀行から借り入れをしてしまうと、毎月の利子の支払いが生じますし、さらに決められた期限までに返済しなければなりません。新しく事業を始めるわけですから、なるべくなら借金は背負いたくないですよね。他に良い方法はないでしょうか。このようなときに考えられたのが「株」という仕組みなのです。

  「株」は「株式」とも呼びますが、日本の多くの会社は、この株の仕組みで成り立っています。

  例えば、中小企業のABC株式会社は温泉事業を始めようとしました。すでに源泉が見つかっていて、そこを掘れば質の高い温泉が出ることは確実です。しかし、温泉事業を始めるには温泉を掘る重機やさまざまな機器、旅館建設、従業員の雇用などなど、あらゆるものを用意しなければなりません。新規に始める温泉事業には、莫大な費用がかかります。中小企業のABC社にとってこの費用を捻出することは相当な負担ですし、自前で用意できそうにありません。

  そこで考え付いたのが、少額の費用を多くの人に出してもらうことでした。数万円や数十万円の単位で出資してもらい、その代わりに事業が成功したあかつきには温泉事業の利益の一部を配分すると約束し、多くの人からお金を集めることにしたのです。

かなり簡略化した例ですが、このようなお金を集める仕組みを「株」または「株式」と思ってください。お金を出す側からみると、少ない金額を出すだけで大きな事業に参加でき、その分け前をもらえる仕組みと思ってもらってもかまいません。会社側からみても、お金を出す側からみても、利点が多いのが株の仕組みなのです。

株主は会社のオーナー

株主は会社のオーナー

会社にお金を出すことを「出資する」と言いますが、これは銀行にお金を預けるのとは違います。銀行にはお金を預けているだけなので、預金は自分のお金ですね。しかし、会社にお金を出す、つまり出資するとは、会社の事業に自分のお金を「使う」ことになります。例えば共同購入で家を買うようなものです。共同で家を買えば、みんなのものでもありますが、自分のものでもありますよね。同じように、株を買うことは会社の一部を買うようなものなのです。つまりは、会社のオーナーになるわけですね。

  莫大な資金を出さなくても、少額でも会社に出資すれば会社のオーナーになれる!これが株式のすごいところなのです。この出資した会社のオーナーのことを「株主」と呼びます。なんと言っても、株の主人ですからね。偉いのです。

  「じゃあ、社長より偉いの?」と思う方もいるかもしれませんね。そう、株主は社長よりも偉いのです。株主がお金を出して会社を支え、社長は株主から経営を任されていることになります。株主は会社の成長と将来性にかけて出資しているわけですから、もし、会社の業績が上がらなかった場合は、社長であっても株主から解任させられてしまうこともあります。株主はそれくらい偉いのです。だから会社は株主に対して定期的に業績を報告して安心してもらおうとします。「今期はこれだけ業績がアップしました」とか「今期の業績は良くないけれど、今後は○○という計画で良くなりますから!」と言ったような報告をしていきます。この報告会を「株主総会」と呼んでいます。

  株主から細かいチェックが入るとなると、会社にとってはわずらわしいばかりにも思えますが、株主は会社に期待して少しでも良くなってもらいたいと願うからこそです。株式会社は、資金面では株主が、経営面では社長や従業員が会社を支えているのです。直接、会社で働いていなくても、株主はれっきとした会社の一員なのです。